ミシェル カプラン
黄金のビザンティン帝国―文明の十字路の1100年
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人気ランキング : 7904位
定価 : ¥ 1,575
販売元 : 創元社
発売日 : 1993-06 |
本書は、カラーの図版が満載されており、眺めているだけでも大変楽しい。「光の都コンスタンティノープル」と称えられたほどに栄えた帝国であるから、そこで作られた当時の絵画・装飾品は見事な色使いで、それが今日までよい状態で保存され、このコンパクトな本によって楽しむことができるのであるから、真に嬉しい限りである。ビザンティン帝国1000年の歴史自体の記載は少ないが(物足りない人は本書の監修者・井上浩一教授著作の「生き残った帝国ビザンティン」「ビザンツ皇妃列伝」等で補うことをお薦めします)、この本はむしろ皇帝の日々の公務や、官僚・都市生活者・農民・聖職者の日常の生活を豊富な図版とともに詳細に記述しており、本書に代わるような書物を私は寡聞にして他には知らないので、非常にいい勉強になりお得な本だと私は断言します。当時の人々の生活(戦争も含みます)をこれほど鮮やかに活写した美術品が多く残っていることがそもそも驚きです。中世美術は決して退屈なものではないことを実感できるでしょうから、本書はお薦めです。なお、他に素晴しい絵があるのですから、裏カバーに(いくらビザンティン帝国と浅からぬ縁があったとはいえ)ヴェネツィアの聖マルコ教会及びその前の広場を描いた絵を用いる必要はあったのでしょうか、疑問です。
ビザンティン帝国、いわゆる東ローマ帝国に関する概説書。
ローマ帝国の継承者であり、また西欧とイスラム世界の狭間という絶妙な地理的位置が
生み出した独特の文化、社会を論ずる。
知の再発見双書シリーズの常として、カラー図版が非常に多く、楽しく
読むことが出来る。ビザンティンの特徴でもある美しい工芸品や、モザイク、
写本の絵などをみることができる。
本書は、ビザンティン帝国の略史を概観するとともに、皇帝の権力、貴族社会について、
またコンスタンティノープルの町の生活の様子&郊外の農村の様子を紹介してゆく。
また、ギリシアの古典を継承した学問・文学・文化、そして帝国の核をなす
キリスト教、聖人信仰、イコン崇拝などについてもしっかり解説していく。
著者がビザンティン帝国に滞在していたんじゃないかと思うほど生き生きした描写で、
帝国の様子、社会構造、西欧やイスラム世界とのかかわりが描かれており、興味深い。
ことに、非常に強い皇帝の権力、ローマ帝国を継承するすさまじいまでの誇りが印象に残った。
また、コンスタンティノープルはキリスト教を初めて公認したローマ皇帝、
コンスタンティヌスが遷都した都である。ゆえにこの帝国は、キリスト教世界を代表するという
自負をもち、同時に、異教世界である古典を継承するがゆえの神学上の論争も絶えず、
キリスト教と西欧以上に深い関係をもっている。本書全体を通して、
皇帝は神の代理人であり帝国は天の王国の地上版であるという思想が貫かれているのが
印象的だった。
いわゆる東ローマ帝国に関する入門書です。
このシリーズにしては珍しく監修者自身が「ビザンティン帝国の興亡」と題して一文を寄せて居りますが、東西分裂後1000年以上も存続した帝国の歴史を、こうしたコンパクトな小形本に収めるのは、やはり難事であったことと思われます。
とはいえ、ビジュアルなカラー図版を豊富に掲げ、本文も分かり易く書かれているので、初心者にとっては親しみやすい良書だということが出来ます。もちろん固有名詞の表記に統一がとれていない等々といった問題点も認められますが、未だに「ビザンティン学」が定着していない我が国にあっては貴重な「ビザンツ入門書」の一冊であると申してよいでしょう。