ブライアン・フェイガン
古代文明と気候大変動 -人類の運命を変えた二万年史
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定価 : ¥ 2,520
販売元 : 河出書房新社
発売日 : 2005-06-10 |
長きに亘る自然との闘いと文明の進歩の結果、我々の社会はいまや発展と繁栄の極みを謳歌するに至り、こうした状況は今後も無限に続いていくように思われています。しかしながら、我々の祖先が恐怖と畏敬とを以って接し来たった大自然は、果たして本当に人類の英知の前にひれ伏しているのでしょうか。
本書は、米国の高名な考古学者が、今から約18,000年前にまで遡り、欧州・中東・米大陸等を中心として人類発達の足取りを追いつつ、気候と文明との関係を説き明かそうとする試みです。地球の軌道離心率や太陽活動の変化、海流や氷河の状況、そして火山の活動などにより気候上のパラダイムが変化した際の、人間文明に及ぼされた凄まじいばかりのインパクトを丁寧に解説しています。
そして著者は、文明の進歩により人類は自然に抗う術を獲得してきたものの、居住地移動の可能性の低下やサンクチュアリとしての森や海の消滅に伴う柔軟性の喪失により、今日の先進文明は、「千年に一度」といった規模での気候大変動に対しては却って脆弱性を増していると主張しています。
自然との関係において、人間の営みは、結局のところ、ほんの小さなものに過ぎないのかも知れません。本書を読んで、そんな妙に謙虚な気持ちを味わったことでした。
本書は厳しい環境の中で人類がいかに食いつないで、生き延びてきたかを著したものだ。はるかクロマニョン人の時代から、ある時は気候変動にじっと耐え、またある時はより豊かな環境を求めて移動した人類の足跡をたどり、各地の古代文明の盛衰を検証している。
全体的に図版に乏しく、記述はともすると単調な歴史年代表のようになりがちだ。淡々と述べられている史実はかなり悲惨であり、人類が生き延びてこられた僥倖を感謝せずにはいられない。
重要なのは、これが現在まで続いている現象の過去の記録であると言うことだ。繰り返される気候の大変動が収まるという理由はない。そこで冒頭で述べられ、エピローグで引き継がれている警句が効いてくる。「我々は目先の驚異に怯えるあまり、もっと本質的な危機に対する備えを忘れてしまっているのではないか」という一文だ。滅び去った文明や集落から学ぶことが我々の子孫に対する義務なのだと思う。
テーマが今風で、実に素晴しい。
でも残念なのは翻訳家が無知で下手で我慢しても読んでいられないこと。
英語ができるからって全てを解決するわけではないのです。
こういう本を翻訳したかったら、せめて気象予報士を取るとか
海洋気象学会に加入したりメソポタミアの発掘団に加盟するとかして欲しい。
自分でかみ砕いて消化しないで翻訳した代表作です。
自動翻訳機の方がまだんまし。
原書はきっと、素晴しいに違いない。
最終氷河期の終わりから現在に至るまでの、数十年から数千年スパンでの気候変動と、
文明の盛衰との関係を論じた書である。
現在の地球の気候は、最終氷期以降比較的安定しいると言われているが、
本書によれば、地域によっては、かなりの変動が起こっているようである。
ただし、気象学の本ではないため、その変動のメカニズムについては述べられない。
本書によれば、気候変動を原因として文明は発展もし衰退もするという。
例えば、西ヨーロッパの気候について、教科書では地中海沿岸は地中海性気候、
それ以北は西岸海洋性気候と教えられるが、この境界は安定したものではなく、
年代によって南北に大きく変動することが述べられており、
現在の気候状況をもって、古代文明を評価することの危うさを感じる。
ローマ全盛期のヨーロッパの気候がどうだったのかを考えることなしに、
ローマ帝国を語ることは出来ないということである。
昨今の地球温暖化問題では、地球全体の平均気温が1,2℃上昇するのをくいとめようと、
各国が必死になっている状態であるが、変化の程度はどうであれ、その程度の気温変動は、
過去の地球に何度も起こっていることで、今後CO2の排出を抑制したとしても、
いずれは別の原因で生じる可能性の高いものである。
むしろ、そのような変動に対して、柔軟に対応できる文明を築き上げるほうが、
文明としての発展は期待できそうである。
気候を安定させることが全てではないということを、教えてくれる一冊である。
まずこの本の大半は、理学の学術文書のような事実やその図等を用いてデータをつみあげて述べていくような表現ではありません。そこに暮らす人々を描き出すような物語形式の語り口です。
また扱う範囲もヨーロッパ、北アフリカ、中近東、北・中アメリカが中心で、中世までです。東アジアがほとんどでてこない話で、ちょっと尻切れトンボのような感がありますが、それでも非常に示唆にとんだ壮大な話です。
特に文明が小さい気象変動に耐えうる生活様式・社会を獲得することと引き換えに(稀な発生率の)大きな気象変動に対する対応能力を失う一方で、地球の気候が数百年単位で大変動してその都度文明への深刻なダメージを与え生活様式・社会の変化を促していくさまがわかりやすく描かれえています。
所与の環境で拡大した古代社会が突然の気候変動で変化していく様は、マークブキャナンの「歴史の方程式」にもつながるような非常に面白いです。