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定価 : ¥ 765
販売元 : 山川出版社
発売日 : 2004-07 |
世界史リブレットシリーズは、歴史上の特定のテーマを淡々とわかりやすく叙述するシリーズだという印象を抱いていたのですが、これはちょっと異色です。批判ばかりが大変目立ちます。ジェンダーとか文化相対主義だとかいった啓蒙主義に対置される立場を知りたいのではなかったのですが。歴史を踏まえたジェンダー論を論じたいならば、別の本でお願いしたかったです。
啓蒙主義をわかりやすく論じ、かつジェンダーや「人種」の視点を組み込んだ邦語文献はなかなかない。ふんだんに掲載されている図像史料も興味深い。これらの中には、はじめて日本で公開されたものもあるのではないか。90ページほどのコンパクトな本だが、18世紀ヨーロッパにおける「他者」へのまなざしについて深く考えさせられる。それにしても、啓蒙主義に対する本書の批判的スタンスが心地良いのは、わたしたちが「非ヨーロッパ人」の側にいるからだろうか。
啓蒙の時代とされる18世紀。知識と自由が広がり、人間の権利が大幅に拡大した時代とされる。しかし、すべての人間が啓蒙の恩恵を受けたわけではなかった。非ヨーロッパ人、女性など、啓蒙の外側に置かれた存在も少なくなかった。彼らは啓蒙されたヨーロッパ人男性と対比されるべき立場に追いやられていたのである。本書はヨーロッパが非ヨーロッパに向けた視線を明らかにすることで、啓蒙の内実を問い直した著作ということになる。
しかし、内容は従来の説をまとめただけで、目新しい箇所はほとんど見当たらない。啓蒙の欺瞞を突くという点でも、底の浅いものに終わっている。
よくまとまっているので概説書として読むのには便利だろう。